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1.WHIの結果は我が国の女性にあてはまるか?
弘前大学医学部産科婦人科 水沼 英樹
乳癌のアジュバンド療法に用いられるタモキシフェンやある種の高血圧治療薬,さらには骨に対するPTHの反応性などは白人と黒人間で効果に差のあることが示唆されているように,同じ薬剤投与によってもその効果が人種の違いによって差のあることが知られている。このような人種の違いに基づく薬物の効果の差は,遺伝情報の差に起因する個体や人種差による場合と,それぞれの個体や人種のおかれる環境因子によって制御されると考えられる。多くの生活習慣病は個人の遺伝的な特性に環境因子が加わって発病してくると考えられており,したがって,その疾病に対する対応も人種や(可能なら)特定の遺伝情報を基礎に個別的に考えられるべきものであろう。WHIで問題となった乳癌,脳血管障害は環境の影響をもっと深く受けている疾患の一つと考えられ,例えば米国在住の日系人は乳癌や子宮内膜癌の発生が米国人に近い発生率を示すようになると言われており,また,脳血管障害は米国白人と本邦在住女性とではその病因が大きく異なっている。WHIは米国在住の健康な閉経後女性を対象に行われた研究であるが,白人ばかりか黒人やヒスパニックあるいは少数のアジア系の女性を対象に行われたものである。しかしながら,このような人種差や環境因子にまで配慮して最終的な結論を出したものではない。それにもかかわらず,本研究は大規模であること,前方視的であること,などから国や人種を超えて世界中に大きな影響を与えたことは周知の通りである。言うまでもなく,このWHIの結果をどのように理解しどのように日本人に当てはめていくかは極めて重要であり示唆に富むものである。そこで,本セミナーではWHIの成績を検証し日本人におけるこれからのホルモン補充療法のあり方との関連性について考察を行うこととする。
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