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2.心臓血管系疾患とHRT −HRTの役割は終わったのか? 対象,投与法の工夫で新たなる展開は?−
高知医科大学産婦人科 若槻 明彦
閉経後女性のホルモン補充療法(HRT)は動脈硬化に抑制的に作用し,心血管疾患(CVD)の発症や死亡率を減少させるといわれてきた。しかし,最近行われたHeart and Estrogen/Progestin Replacement Study(HERS)やWomen's Health Initiative(WHI)などの大規模臨床試験がHRTはCVDのリスクを逆に増加すると結論したことから,現在HRTを受けている女性のみならず,医療従事者までがHRTの開始,継続に不安を持つようになり,HRTを断念した症例も少なくない。HERSでは対象者の年齢が高齢でCVDの程度が重度であったことや,WHIでは肥満,高血圧,喫煙者などのCVDの危険因子を有する患者が多数存在したなどの欠点はあるものの,従来のHRTは動脈硬化に抑制的な作用を有する一方,促進的作用もあると考えられる。我々は従来の経口ルートには,・エストロゲンによる高TG血症がLDLを小粒子化する。・エストロゲンにはCRP上昇などの炎症促進作用がある。・エストロゲンに併用する酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)がHDL低下作用や血管内皮機能低下作用を有する。の3つの短所が存在することを明らかにしてきた。従って,これらの短所を改善することができれば従来のエストロゲンの抗動脈硬化作用が発揮できると考えられる。我々は基礎的,臨床的研究から,経口エストロゲン量の減量,HRT投与ルートの経口から経皮への変更,さらにプロゲスチン製剤を合成型のMPAから天然型への変更により,これらの悪影響が回避できることをすでに明らかにしている。このように最近の研究により,HRTのCVDに対する短所が明確になりつつあり,その改善策もかなり具体化してきた・今後は,日本人を対象としたさらなる臨床的検討を加え,将来,CVDリスクの低下が可能なHRTの確立が望まれる。
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